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梁石日めぐりくる春 好きな小説家と作品その10 




俺は一休〔いっきゅう อิคคิว〕だ
 
 
俺はよも助だが一休でもある
タイのチェンマイのタイ人たちは俺を一休と呼ぶ
ちょっと前まではその辺を歩いていると
あっちこっちから一休と声が掛かったものだ
ちょうど二十歳の時半年間だけ俳優の養成機関にいたことがある
仲間たちは俺をトニーと呼んだ
なぜ彼らは俺をそのように呼ぶのか 呼んだのか
一休と呼んでもかまわない、っていうより呼んでほしい
いくら俺だってトニーと呼ばなきゃぶっ放すぜ
とかなんとか俺自身がお願いしたからだ
どんなに底意地の悪い男でも
凶悪な前科持ちの女でも
他人様からこんなふうに呼んでもらいたいのと頼まれて拒否する
奴はまずいない
~そのフクダさんていうのなんかおかしくない?
ある時マル田バツ子が言った
~じゃあなんて呼べばいいの
と俺は聞いた
~そうね、うーん、やっぱりフクダさんでいい
俺は一度たりともマル田バツ子を
フクダとかレイコさんとかレイちゃんとかレイコとか
呼んだことはないし呼んでみたいと思ったこともない
フクダさんで十二分に満ち足りていた
一休と所かまわず親し気に声を掛けてきた
9割がたは女だ
その半分に見覚えがなかった
といってうろたえる必要はなかった
彼女らの身元は割れている
間違いなく風俗関係の店に従事している方々だ
10年ひと昔、50を少し越えるあたりまで
そうしたところへ足繁く通った
我を忘れるくらいに酔わなければそういったところへ
足が向くタイプではない
彼女らを思い出せないのはそのせいなのだ
ただこの5、6年2回の例外を除けばそうした店には
行っていない
行っても意味を為さなくなったからだ
おかげで一休と呼び掛けてくる者たちも
いなくなった
気がつけばタイ人のともだちもどこかへ
いなくなった
ここらが潮時だろう
今回の滞在を最後にチェンマイは

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