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毎度!よも助です

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元気です



エッコちゃん
 
 
近所で初めてテレビを入れたのは
路地一本隔てて並ぶ名無しさんの家だ
それからうちがテレビを買うまでどのくらいの時間差があったのだろう
覚えているのは大村崑の「とんま天狗」は名無しさんちの
縁側から見たということだ
あの頃夏休みには町内レクレーションと称した組内の日帰りバス旅行があって
阿字ヶ浦とか幕張の海水浴場へ行った
これはまったく記憶にないのだが将棋覚えたてのころ
そのバスの中でエッコちゃんのおかあさんにせがんで将棋を指してもらい
負けてしくしく泣いたのだという
名無しさんちには子供が三人いたが末っ子がエッコちゃんで
ぼくより二歳か三歳上だった
エッコちゃんのお兄さんとお姉さんは勉強ができて県内一の進学校に進んだが
二人の名前は忘れてしまった
またバスの中に戻るがぼくが調子に乗って
かあちゃんが申でばあちゃんが戌だから二人は仲が悪いのだ 
と口走ると面白がって、ひでおちゃんは頭がいいと褒めてくれたのも
エッコちゃんのおかあさんだった
下の姉と缶詰を前に缶切りが見つからず困っていた時のことだ
結局名無しさんちから借りようということになった
姉が出かけて行ったのだがエッコちゃんを伴って引き返してくると
エッコちゃんの目の前で缶詰を開け缶切りを返し
そのままバイバイしたのだった
エッコちゃんは不二家のお菓子のキャラクター
ほっぺたをいっぱいにして笑って見せる女の子にそっくりだった
ぼくが小学校五年か六年の時
エッコちゃんのおとうさんが事件を起こした
もうその頃は組内のバス旅行はなくなっていたのではないか
いや参加しなくなっただけのことか
その後、名無しさんちの周辺がひっそりとした感じになったのは
否めなかった
よしだたくろうが「元気です」をリリースしたのは高校二年だ
あれっ?いつのまにたくろうを掛けたんだろ?
と訝っていると「春だったね」は隣の名無しさんちの方から聞こえて来るのだった
土曜日や日曜の午前中はよく「元気です」の競演になった
隣から「旅の宿」が聞えて来るとここぞとばかりに窓を開け
「たどり着いたらいつも雨降り」のボリュウームを上げるのだった
ある日の夕方エッコちゃんが我が家を訪ねてきた
この前たくろうのコンサートに行ったんだけどその時の写真が
出来上がってきたの
ということだった
ステージで歌うたくろうの写真が三枚引き延ばされ
白い大きな封筒に入れられていた
名無しさんちはぼくが上京して二年目に引っ越していった
おとうさんの判決が下るのを待って越したのだという


走る酔っ払いよも助がうたう

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